日本消化器外科学会雑誌
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食道神経鞘腫の1治験例
平沼 知加志大村 健二川上 和之塚山 正市吉羽 秀麿渡邊 剛
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2003 年 36 巻 11 号 p. 1487-1492

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抄録

食道良性腫瘍のなかでも極めて頻度の低い神経鞘腫の1例を経験したので報告する. 症例は64歳の女性. 風邪症状のため近医受診したところ, 胸部X線写真にて縦隔腫瘤を指摘された. 胸部CT検査では, 中縦隔に腫瘤を認めた. また胸部MRI検査では, 同部位にT1強調像にてやや低信号域, T2強調像にて高信号域を呈し, Gdで造影される充実性腫瘍を認めた. EUSにて腫瘍は第4層と連続性を有し, 内部エコーはhypoechoicで均一だった. 以上より食道平滑筋腫と診断し, 完全胸腔鏡下に腫瘍核出術を施行した. 腫瘍は3.5×3.0×2.0cm, 灰白色の被膜を有し, 割面は均一な黄白色を呈していた. 病理組織学的に腫瘍細胞は紡錘形細胞の束状増生, 核の柵状配列が認められた. 免疫染色ではα-smooth muscle actin陰性で, S-100陽性, NSE弱陽性であり, 食道神経鞘腫と診断された. 術後は順調であった.

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