日本耳鼻咽喉科学会会報
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眼窩骨膜下膿瘍の治療に関する臨床的検討
波多野 篤志和 成紀飯村 慈朗月舘 利治森山 寛
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2006 年 109 巻 5 号 p. 447-454

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抄録

眼窩骨膜下膿瘍は,隣接する副鼻腔からの感染により眼窩骨と骨膜間に膿瘍形成を起こした状態であり,局所の感染巣とその後の眼窩内圧上昇のために視力障害などの視器症状を併発し,時にこれが残存するために早期の診断と治療が必要な疾患である.今回,急性および慢性副鼻腔炎と副鼻腔嚢胞に続発する眼窩骨膜下膿瘍の5例を経験し,その手術適応と術式に関して検討を行った.1例は保存的治療により治癒したが,4例に対しては手術治療を行った.眼球突出,複視や視力障害などの視器症状が進行する例やCTなどの画像診断にて膿瘍形成が認められる例では,合併症防止のために早急な眼窩内容の減圧が必要である.そのアプローチ法としては,従来の外切開でなく膿瘍穿刺および内視鏡下鼻内アプローチによりその感染源である副鼻腔病変と眼窩病変に対して処置が可能であり有用と思われた.

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