日本臨床免疫学会会誌
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急速に進行する間質性肺炎を伴った混合性結合組織病の1例
竹田 剛堤 明人小椋 庸隆浄土 智天崎 吉晴中林 透藤咲 淳小林 清一小池 隆夫
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1995 年 18 巻 3 号 p. 303-307

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抄録

症例は43歳,女性. 1992年12月頃より両上肢の脱力感が出現した.次第に手指の腫脹,レイノー現象,顔面の紅斑,多関節痛を認めるようになったため1993年4月某医を受診した.抗核抗体・抗RNP抗体強陽性より混合性結合組織病(MCTD)が疑われたが,胸部X線写真に異常はなかった.同年5月,発熱,下肢の脱力感,呼吸苦が出現したため当科を受診,両側背部にVelcroラ音を聴取し,筋原性酵素の上昇,著明な低酸素血症,胸部画像診断で下肺野優位の粒状網状影を認めた. MCTDの急性増悪に伴う急性間質性肺炎と診断しステロイドパルス療法を施行,低酸素血症および胸部X線所見は改善し,筋原性酵素も正常化した.
MCTDで間質性肺炎をきたす場合,多くは慢性に進行し,本症例の様に急激に悪化する例は極めてまれである.しかし,このような例では死の転帰をとることもあり速やかにステロイドの大量投与を行うことが重要であると思われた.

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