日本薬理学雑誌
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Cernitin pollen extract の摘出尿道平滑筋および横隔膜神経筋に対する作用; その配合要素Cernitin T-60 と Cernitin GBXによる相乗効果
中瀬 清一武永 邦三浜中 敏議木村 正康
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1988 年 91 巻 6 号 p. 385-392

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抄録

花粉製剤の cernitin pollen extract(CN-009)のラット尿道平滑筋標本および横隔膜神経筋標本に対する弛緩作用を検討した.その配合要素の cernitin T-60(T-60)とcernitin GBX(GBX)は20:1の配合比で協力作用を示すことを証明した.ラット尿道平滑筋において,CN-009(3.0×10-4~3.0×10-3g/ml)およびそれに相当するGBXならびにT-60は,noradrenaline(NA)(10-5g/ml)収縮を用量依存的に抑制した.Bürgiの方法により,CN-009の1.0×10-3~3.0×10-3g/mlに相当する濃度のT-60とGBXの間に弱い相乗作用が認められた.また,GBXはNAに対して非競合的であり,K+(139.6mM)収縮をも抑制したが,T-60は競合的な傾向を示し,K+収縮を抑制しなかった.ラット横隔膜神経筋において,CN-009(5.25×10-3~2.1×10-2g/ml)は,神経刺激(0.5msec,10v,0.2Hz)による単収縮を用量依存的に抑制した.この濃度範囲に相当するT-60は顕著な作用を示さず,GBXでは作用が弱かった.Bürgiの方法により,CN-009の各濃度に相当するT-60とGBXの間に明らかな相乗作用が示された.なお,CN-009(2.1×10-2g/ml)およびGBX(1.0×10-2g/ml)の抑制作用は神経刺激に対して特異的であり,neostigmine(1.0×10-5g/ml)により回復しなかった.このことは,CN-009の作用点が筋直接的ではなく,AChと競合的でないことを示唆した.結論として,CN-009は尿道平滑筋および神経筋に対し,用量依存的な弛緩作用を示し,T-60とGBXが異なった作用機序で相乗的に作用することを証明した.

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